心や体の不調と、引退を決めることの、あいだにあるもの

心や体の調子がよくない中で、「競技を続けるか、離れるか」を考えている人もいるのではないでしょうか。
今日は、その「不調」と「引退を決めること」のあいだにあるものについて、書いてみます。

先に、お伝えしておきます。
私は医療や心理の専門家ではないので、この記事は、医療の助言ではありません。
「私の見方」として書きたいと思います。

目次

目次

  1. 体の痛みは言えても、心の不調は言いにくい
  2. 不調は、弱さの証拠ではない
  3. ある選手の引退表明から
  4. 不調と決断のあいだにある、三つのもの
  5. 今日できる、小さなふたつの準備
  6. 心の専門家ではない私に、できること

❶ 体の痛みは言えても、心の不調は言いにくい

ここは「たとえば」の場面です。

足が痛いときは、トレーナーに「ここが痛いです」と言える。
腰に違和感があれば、練習のメニューを変えてもらえる。
体のことなら、言葉にしやすい。

でも、心のこととなると、急に言いにくくなる。
なんとなく、気持ちが重い。
前は楽しかった練習に、向かう足が重い。
そう感じていても、「調子が悪いだけです」と答えてしまう。

言ったら、弱いと思われるかもしれない。
試合に出られなくなるかもしれない。
そんな心配が、口を重くすることもあるのではないでしょうか。

誰にも気づかれないまま、何週間も過ぎていく、ということもあるかもしれません。

もちろん、感じ方は人によって違います。
あくまで、ひとつの「たとえば」です。
心の不調は、体のケガに比べて、周りから見えにくいものですよね。


❷ 不調は、弱さの証拠ではない

ここからは、私の見方です。

体の調子に、いい日と悪い日があるように、心の調子にも、波があるのではないでしょうか。
波があることは、弱さの証拠ではありません。
いや、「証拠ではない」と言うより、「弱さとは関係がない」と言ったほうが、近いかもしれません。

「気持ちの問題だ」「もっと強くならなきゃ」と、自分に言い聞かせている人もいるかもしれません。
でも、心の不調は、気合いや根性だけで、どうにかするものではない、と私は考えています。
体のケガを、気合いで治そうとしないのと、同じように。

競技の世界では、我慢することが、評価されてきた場面もあったかもしれません。
痛くても、苦しくても、やり切ることが、強さだと言われてきた。
だからこそ、心の不調まで、我慢で乗り越えようとしてしまうこともあるのかもしれません。

冒頭でも書きましたが、私は医療の専門家ではありません。

だから、心の不調について、「こうすれば良くなります」と言うことはできません。
つらさが続くときは、医療機関や、心の専門家に相談してほしいと思います。
それは、負けでも、逃げでもないはずです。


❸ ある選手の引退表明から

ここからは、事実の紹介です。

2026年10月15日、プロ野球の中日ドラゴンズに所属していた、27歳の外野手が、インスタグラムで、現役引退を表明しました
(出典:デイリースポーツ、2026年10月15日)

9月30日に、戦力外通告を受けていたそうです。

記事によると、本人は、今年のキャンプの時点から、心身の不調があったことを明かしました。
診断を受けたうえで、試合に出ていたこと。
4月22日から、休養していたこと。
そうしたことも、書かれていました。

本人は、「正直今も戦ってます。」と記しています。
今後の進路は、何も決まっていないとし、いつか何らかの形で、元気な姿を見せたい、という思いを述べています。

ここで私が書けるのは、記事で確認できたことだけで、引退を決めた理由や、本人の気持ちを、私が推測して書くことはしません。

心身の不調を、自分の言葉で、人に伝える。
それには、とても大きな勇気がいることのように、私には思えます。

ただ、ひとつ、はっきり書いておきたいことがあります。 不調を公表するかどうかは、本人が決めていい、ということです。

公表しなくても、まったくかまいません。
誰かに話すのは、信頼できる一人だけでも、いいんです。
公表した人の言葉を読んで、「自分も話さなきゃ」と、焦る必要もありません。
話すタイミングは、人それぞれです。


❹ 不調と決断のあいだにある、三つのもの

たとえばの話ですが、
大雨が降っている日に、引っ越し先を決めようとする人は、あまりいませんよね。
外は暗くて、道もよく見えない。
天気が落ち着いてから、家を見に行こう、と考えるのではないでしょうか。

心や体が不調なときも、少し、似ているのかもしれません。

不調と、引退を決めることのあいだには、三つのものがある、と私は考えています。

一つ目は、「時間」です。
体調が落ち着かないときに、大きな決断を、急がなくてもいい場合があるのではないか、と私は思っています。
ただし、これは医療の助言ではありません。
決めるタイミングは、主治医や専門家と相談しながら、考えてほしいと思います。
契約の時期など、待ってもらえない事情があることも、分かっています。

二つ目は、「支え」です。 医療機関や、心の専門家。
家族や、信頼できる仲間。
一人で抱えたまま決めるより、誰かと一緒に考えたほうが、少し楽になることもあるかもしれません。

三つ目は、「選択肢」です。
休む。
続ける。
離れる。
離れたあとに、別の形で競技と関わる。

選択肢は、ひとつではありません。
たとえば、まず休んで、体調が少し戻ってから、もう一度考える。
そういう道を選ぶ人も、いるかもしれません。
離れることを「逃げ」と呼ぶ人がいても、全く気にする必要はありません。

続けることも、離れることも、その人が選んだことなら、どちらも間違いではないと、私は思っています。
「不調だから、引退するしかない」でも、「不調でも、続けなければいけない」でもない。
そのあいだに、時間と、支えと、選択肢がある。
そう考えると、少しだけ、息がしやすくなりませんか。

家族や指導者など、そばで支える方にも、ひとつだけ。 本人が不調のことを話してくれたときは、まず、話してくれたことに、「ありがとう」と伝えてみてください。

すぐに答えや励ましを返さなくても、かまいません(これも、私の見方です)

画像

❺ 今日できる、小さなふたつの準備

今すぐ何かを決めなくても、今日できる、小さな準備があります。

ひとつ目は、話せそうな人の名前を、一人だけ、メモに書いておくことです。
家族でも、友人でも、トレーナーでも、構いません。
すぐに話さなくても、いいんです。
「この人になら、話せるかもしれない」と、名前があるだけで、心の置き場所が、少しできるかもしれません。

ふたつ目は、相談先を一つ、スマホに登録しておくことです。
厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」は、0570-064-556 です。

全国どこからかけても、かけた場所の、公的な相談機関につながるとされています。
受付時間は、窓口ごとに違います。
平日の夜(月曜〜金曜の18時30分〜22時30分)は、日本精神保健福祉士協会と日本公認心理師協会が受け付けている、と書かれていました。

同じ時間に、都道府県などが相談を受けている場合は、そちらが優先されるそうです(出典:厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html

どちらも、今すぐ使わなくてもいいです。
「いざというときに、ここがある」と分かっているだけで、違うこともあります。
命に関わるような、緊急のときは、迷わず119番に連絡してください。


❻ 心の専門家ではない私に、できること

私はキャリアコンサルタントですので、 医療や心理の専門家では、ありません。
ですので、医療の代わりには、なれません。

というより、なろうとしてはいけない、と思っています。
でも、体調のことを大切にしながら、これからの働き方や生き方を、一緒に整理する手伝いなら、できると思っています。
治療は、専門家に。
これからのことを考える時間は、私も一緒に考えることができたら、本望です。
考えはじめるのは、体調が少し落ち着いてからで、十分です。
急がなくて、大丈夫です。

この記事を読んで、何かの行動のきっかけになれたらうれしいです。

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