アスリートにとって、 “引退後に何をするか” より、”どんな人として生きるか” が大切な理由とは

「引退後、何の仕事をすればいいのか」——この問いで頭がいっぱいになっているアスリートに、今日はぜひ読んでほしいと思い、この記事を書きました。
仕事選びの前に、実はもっと大切な問いがあります。
その問いが見えてくると、引退後の景色が少し変わるかもしれません。

目次

目次

  1. 引退後の「仕事」ばかり考えていませんか?——本当に大切なことは、その先にあります
  2. 「何をするか」だけ考えていると、なぜ行き詰まってしまうのか
  3. キャリアとは「職業」ではなく「生き方」のことだと、改めて私が確信した瞬間
  4. 「どんな人として生きるか」——その答えは、すでに競技人生の中にあります
  5. 「生き方の軸」があると、仕事選びがブレなくなる——具体的な理由
  6. 「どんな人として生きるか」を考えることは、今日から始められます
  7. 仕事は変わっても、あなたという人間は変わらない

1. 引退後の「仕事」ばかり考えていませんか?——本当に大切なことは、その先にあります

アスリートのあなたは、もしも今、引退後のことを考えるとき、頭の中にあるのはどんな言葉ですか?

「どんな仕事に就けばいいか」
「どんな資格を取ればいいか」
「どんな業界なら自分でも入れるか」
——おそらく多くのアスリートが、「何をするか」という問いを中心に考えているのではないでしょうか。

その問いを持つこと自体は、とても大切なことです。
でもセカンドキャリア支援の現場に関わってきた中で、私が気になっていることがあります。

「何をするか」が決まったのに、なぜかしっくりこない。
仕事には就いたけれど、何かが足りない気がする。
そう感じる元アスリートが、一定数いるのです。

その理由を突き詰めていくと、いつも同じところに行き着きます。
「何をするか」の前に、「どんな人として生きるか」が決まっていなかった。

今日は、そのことを是非、一緒に考えてみたいと思います。

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2. 「何をするか」だけ考えていると、なぜ行き詰まってしまうのか

競技中のアスリートにとって、「何をするか」は常に明確でした。

練習する、試合に出る、結果を出す。
やるべきことが毎日はっきりしていて、その積み重ねが競技人生を作ってきたのだと思います。
だからこそ引退後も、「やること」さえ決まれば前に進めると感じるのは、ごく自然なことです。

でも、ここに一つの落とし穴があります。

「やること」は決められても、「なぜそれをやるのか」「自分はどう生きたいのか」ということを考えないまま走り出してしまうと、どこかで必ず立ち止まる瞬間が来ます。

仕事で壁にぶつかったとき。
思っていた環境と違うと感じたとき。
「自分はここにいていいのか」と迷ったとき
——そのときに立ち戻れる場所が、「どんな人として生きるか」という軸なのだと思います。

仮に地図に例えるなら、「何をするか」はルートです。
でも「どんな人として生きるか」は、目的地です。
目的地が決まっていないまま走り続けても、どこにも着けません。

「何をするか」を考えることは大切です。
でもその前に、目的地を持つことが、セカンドキャリアをブレずに歩むための土台になります。


3. キャリアとは「職業」ではなく「生き方」のことだと、改めて私が確信した瞬間

突然ですが、「キャリア」という言葉はラテン語で「轍(わだち)」を意味する言葉が起源とされています。
轍とは、車輪が地面に残した跡のこと。
つまりキャリアとは本来、「自分がどう生きてきたかの軌跡」を指す言葉なのです。

職業の履歴ではなく、生き方の軌跡。

この解釈を知ったとき、支援の現場で感じてきたことが、すとんと腑に落ちました。

以前、対話させていただいたある元アスリートの話をさせてください。
彼女は引退後、業種にはこだわらず「人の役に立てる場所で働きたい」という一点だけを軸に仕事を探しました。
周囲からは「もっと条件で絞ったほうがいい」と言われることもあったそうです。
でも彼女は、その軸だけは曲げませんでした。

結果として、彼女はスポーツとはまったく関係のない福祉の現場に進みました。
収入が特別高いわけでも、肩書きが華やかなわけでもありません。
でも数年後に話を聞いたとき、こう言っていました。
「毎日、自分らしくいられています」と。

もう一人、印象に残っている方がいます。
「自分に正直に、誠実に生きたい」という信念を持って引退後のキャリアをスタートさせた元選手です。
特別なスキルがあったわけではありませんでした。
でも、どんな小さな約束も守り、どんな仕事も手を抜かない姿勢が、職場の中で自然と信頼を集めていきました。

二人に共通していたのは、「何をするか」より先に「どう生きるか」を持っていたことでした。

キャリアとは、職業の話ではなく、生き方の話です。
そのことを、支援の現場で何度も確信してきました。

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4.「どんな人として生きるか」——その答えは、すでに競技人生の中にあります

ここで一つ、大切だと思ったことをお話させてください。

「どんな人として生きるか」という問いは、引退後に初めて考えるものではありません。
実はアスリートはすでに、競技人生の中でその答えを体験しています。

  • 誰も見ていない早朝の練習場で、それでも手を抜かずに積み上げてきた誠実さ。
  • 負けた翌朝も、気持ちを切り替えてグラウンドに向かった責任感。
  • チームのために自分の役割を全うしようとした献身。
  • 仲間が落ち込んでいるとき、声をかけずにはいられなかった思いやり。

これらはすべて「スポーツの話」ではありません。
「アスリートのあなたという人間の、生き方の話」です。

競技の中で自然に体現してきたこれらの価値観が、そのままご自身の「どんな人として生きるか」の答えになっています。

一つ、アスリートのあなたに、問いかけをさせてください。

「あなたが競技を通じて、ずっと大切にしてきた価値観は何ですか?」

すぐに答えが出ないかもしれません。
でもこの問いを心に持っておくと、引退後の選択の場面で、必ず助けになるはずです。
「どんな人として生きるか」の答えは、遠くに探しに行かなくていいのです。
あなたの競技人生の中に、すでにあります。


5.「生き方の軸」があると、仕事選びがブレなくなる——具体的な理由

「どう生きるか」という軸を持つと、引退後の仕事選びに、具体的にどんな変化が起きるのでしょうか。

支援の現場で感じてきた変化を、正直にお伝えします。

まず、「合う仕事・合わない仕事」の判断が早くなります。
軸がある人は、条件や給与だけでなく「この職場の雰囲気は自分の生き方と合っているか」という視点で判断できます。
だから、入社後に「なんか違う」と感じるリスクが大きく減ります。

そして、仕事で壁にぶつかったときに、立ち戻れる場所ができます。
「自分はどんな人として生きたいのか」という軸は、迷ったときの羅針盤になります。


6.「どんな人として生きるか」を考えることは、今日から始められます

「でも、どこから手をつければいいかわからない」という方に向けて、今日からできる三つのステップをご提案してみます。

Step1:競技人生で「これだけは曲げなかった」ことを一つ書き出す

どんな小さなことでも構いません。
「遅刻だけは絶対にしなかった」
「仲間の悪口だけは言わなかった」
——そういった一見地味なことの中に、あなたの生き方の核心が宿っています。

Step2:引退後に「こんな人だと思われたい」という言葉を一つ書いてみる

「信頼できる人」「諦めない人」「周りを明るくできる人」——なんでも構いません。
その言葉が、あなたの「どんな人として生きるか」の入口になりるかもしれません。

Step3:その二つが重なる場所を探してみる

Step1で出てきた「曲げなかったこと」と、Step2で出てきた「こんな人でいたい」が重なる場所。
そこに、あなたの「生き方の軸」があると考えます。

「どんな人として生きるか」を考えることは、難しい哲学の話ではありません。
今日この瞬間から、始められることです。


7. 仕事は変わっても、あなたという人間は変わらない

最後に、私の一番正直な気持ちをお伝えさせてください。

引退後に輝いているアスリートを、支援の現場で見てきましたとき、その方たちが共通して持っていたのは、特別なスキルでも華やかな経歴でもありませんでした。
「自分はこう生きる」という、静かでブレない軸でした。

「何をするか」は、時代や状況によって変わっていきます。
でも「どんな人として生きるか」は、どんな環境に行っても、あなたの中でブレない核になります。

アスリートとして競技人生で積み上げてきた生き方は、引退後も絶対に消えることはありません。
それをどう言葉にして、どう社会に届けるか
——その旅を、キャリアの支援者の一人として、一緒に歩んでいきたいと思っています。

これからも、アスリートのあなたの背中をそっと押せる記事を届けていければ幸いです。
また次の記事で、お会いしましょう。

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