■ その力、実はもう「社会で通用する武器」です
「自分には特別なスキルなんてない」
引退後や引退を意識し始めたアスリートから、よく聞く言葉です。
でも、私はいつもこう思います。
それは“持っていない”のではなく、“言葉にしていないだけ”だと。
競技の現場で、あなたが毎日無意識にやってきたこと。
それは、実はどの業界でも求められている“働く力”そのものなのです。
今回は、アスリートが自然に身につけてきた力を、あえて「社会の言葉」に翻訳してみます。
自分の価値を再発見する時間として、ぜひ読み進めてください。
① アスリートの“当たり前”は、社会では“即戦力”になる
アスリートにとって当たり前の行動。
- 朝早く起きる
- 体調を自分で管理する
- 苦しい練習でも手を抜かない
- 失敗しても次の改善を考える
これ、すべて、社会では高く評価される「再現性のある行動力」です。
企業が求めているのは、派手な実績よりも
「任せた仕事を、安定してやり切れる人」。
アスリートの多くは、すでにこの資質を十分すぎるほど備えています。
これはまさに、
アスリートのセカンドキャリアにおける土台となる力です。
② 勝ち負けの世界で磨かれた“メンタル耐性”という強み
競技の世界は、結果がすべて。
評価がはっきりしている分、心の揺れも大きい世界です。
- 思うように結果が出ない
- レギュラーを外される
- ケガで思うように動けない
それでも前に進み続けてきたあなたには、
**他の人が簡単には身につけられない「感情コントロール力」**があります。
社会に出ると、思い通りにいかない場面は日常茶飯事です。
そのたびに心が折れてしまう人も少なくありません。
だからこそ、
「感情と向き合い、立て直してきた経験」そのものが、最大の武器になります。
これは
引退後の働き方において、極めて強力なアドバンテージです。
③ チーム競技で育った“見えない調整力”
チームスポーツ経験者なら、無意識にやっていることがあります。
- 空気を読む
- 仲間の調子に気づく
- 自分の役割を理解する
- 受け身と攻めを切り替える
これらはすべて、社会では
「チームワーク」「報連相」「協働力」「組織適応力」と呼ばれます。
私は30年以上会社員をしていて思ったのですが、企業が本当に欲しい人材とは、
「目立つエース」よりも「組織を前に進める潤滑油」だったりします。
ここに、
アスリートデュアルキャリアが企業と親和性が高い理由があります。

④ なぜ多くのアスリートは、この力に気づけないのか?
理由はとてもシンプルです。
「できてしまうから、価値だと思えない」
人は「努力して身につけたもの」よりも
「無意識にできること」を過小評価してしまう生き物です。
しかし、社会に出るとこう言われます。
「それ、簡単に言うけど普通はできないよ」
この“ズレ”こそが、
多くのアスリートが自信を持てない正体です。
だからこそ、
セカンドキャリア支援では「言語化」が極めて重要になります。
⑤ 働く力を“自分の言葉”に変える3つのステップ
ではどうすれば、この力を自信に変えられるのか。
実践的な3ステップをご紹介します。
① 競技人生を「行動ベース」で棚卸する
成績ではなく、
「どんな行動を、どれだけ続けてきたか」を書き出す。
② それを“社会語”に置き換える
忍耐 → 継続力
瞬時の判断 → 問題解決力
声出し → コミュニケーション力
③ 他者の視点を入れる
第三者に言葉にしてもらうことで、
自分の強みは初めて“輪郭”を持ちます。
ここで初めて、
デュアルキャリアが「現実的な進路」に変わります。
⑥ あなたはもう、ゼロからのスタートではない
引退は、何かを「失う」瞬間ではありません。
それは、競技で磨き続けた力を、社会で使い始めるスタートラインです。
アスリートはすでに、
- 継続できる力を持ち
- 折れない心を持ち
- チームで成果を出す力を持っています
あとは、
それを「自分で認める勇気」だけです。
未来は、いつだって
「今ここ」からつくれます。
最後に
もし今、少しでも
「自分の強みって何だろう?」
と感じたなら。
それはもう、
次のステージへ進む準備が始まっている証拠です。
あなたの“働く力”は、
必ず、社会で誰かを支え、価値を生み出します。
私は、そう信じて疑いません。


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