「社会に出たら通用しないかもしれない」
多くのアスリートが抱くその不安。
引退が近づいたとき。
あるいは、引退を決めた直後。
多くのアスリートが、こんな不安を胸の奥にしまい込みます。
- 社会経験が足りない気がする
- 周りよりスタートが遅れているのではないか
この不安は、とても静かで、とてもリアルです。
そして同時に、誰にも弱音として吐き出しにくい。
でも、最初にひとつだけお伝えしたいことがあります。
その不安は、
決して能力不足から生まれているものではありません。

実は今、日本社会のほうが “人を必要としている”
少しだけ、視点を社会に向けてみてください。
ニュースでよく耳にする「人手不足」。
これは単に「人数が足りない」という話ではありません。
多くの現場で本当に困っているのは、
- 途中で投げ出さない人
- 状況が変わっても立て直せる人
- 周りを見て、チームで動ける人
つまり、
安心して任せられる人が足りないという現実です。
そしてここで、ひとつのズレが起きています。
社会は「そういう人」を探しているのに、
アスリート自身は「自分には何もない」と感じてしまう。
これは、能力の差ではありません。
評価の“言葉”が違うだけです。
人手不足の現場が求めているのは、
「競技で鍛えられた力」そのものだった
現場で評価される力を、少しだけ具体的に見てみましょう。
- プレッシャーの中でも判断できる
- 思い通りにいかない状況を前提に考えられる
- 指示待ちではなく、次に何が必要かを考える
- 自分の役割を理解し、チームを優先できる
これらは、特別な才能でしょうか?
いいえ。
競技の中で、毎日のように使ってきた力です。
アスリートにとっては「当たり前」でも、
社会では「ぜひ欲しい力」なのです。

それでも自信が持てない理由
それは、あなたが悪いからではありません。
アスリートは長い間、
「結果」「記録」「勝敗」という
極めて分かりやすい基準で評価されてきました。
一方、社会では評価軸が変わります。
- 再現性
- 信頼
- 継続性
- 周囲への影響
この“評価基準の変化”に、
心が追いつかなくなるのは自然なことです。
ここで多くの人が、
「自分は通用しない」と結論づけてしまう。
でも実際に起きているのは、
価値が消えたのではなく、翻訳がまだなだけ。
競技経験は、こうして“即戦力”に変わる
たとえば——
- 試合前の準備
→ 段取り力・リスク管理 - 修正の早さ
→ PDCAを回す力 - ベンチやサブでの経験
→ 組織視点・サポート力 - 厳しい練習を続けた日々
→ 継続力・自己管理
これらは、
「一部のアスリートだけの特別な力」ではありません。
積み重ねてきた人なら、必ず持っている力です。
そして人手不足の今、
社会はまさにこうした力を必要としています。
「必要とされている」と気づいた瞬間、人は前を向ける
支援の現場で、お聞きしたエピソードがあります。
最初は自信なさそうにしていた元アスリートが、
職場でこう言われた瞬間、表情が変わる。
「助かります」
「任せていいですか?」
結果を出す前に、
” 頼られる感覚 “を取り戻す。
その瞬間、
「社会に出ても大丈夫かもしれない」という感覚が、
静かに芽を出したと。
これは特別な成功談ではありません。
競技で身につけた力を、社会の言葉に置き換えられた人に、
自然と起きる変化です。
人手不足の時代は、アスリートにとって追い風の時代
これからの日本社会は、
- 完璧な人材より、育ちながら活躍できる人
- 一人で何でもできる人より、チームで踏ん張れる人
を求めていきます。
これは、
アスリートが長年慣れ親しんできた環境そのもの。
つまり——
あなたが遅れているのではなく、
時代がようやく追いついてきたのです。

最後に|答えは、すぐに出さなくていい
この記事を読んで、すぐに進路を決める必要はありません。
まずは、
- 自分の競技経験を言葉にしてみる
- 誰かに話してみる
- 小さな現場に触れてみる
それだけで十分です。
もし一人で整理できなければ、
是非、セカンドキャリア支援を使うことをお勧めいたします。
支援を活用することは「弱さ」ではなく「戦略」です。
アスリートであるあなたの競技経験は、
今の日本で確かに必要とされています。
それに気づいたとき、
次の一歩は、思っているより自然に踏み出せるはずです。


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